SnowManのアイラブユーの訳し方

文豪、夏目漱石が英語教員をしていた際、アイラブユーを「我、汝を愛す」と訳した男子学生に対して、「日本人は愛してる相手に愛してるとは言わない。月が綺麗ですねとでも訳しておきなさい。」と言ったという逸話。本当にこのような出来事があったのか?という真偽は不明瞭で今では夏目漱石の伝説のようになっているけれど、ロマンチック且つ情緒的であることこの上なく、一般教養になりつつあるほど有名な話。ジャニーズwebのSnowManの連載、すの日常の渡辺翔太くん更新回(3/7)でも、月が綺麗ですね、の一文が登場。渡辺くん月が綺麗ですねの話知ってるんだ、と小さく驚いて、渡辺くんがアイラブユーを訳すなら月が綺麗ですねって感じじゃないなあ、じゃあ何て訳すだろう?となり、SnowManならアイラブユーをどう訳すか?と妄想スイッチがオン。そしてこれを書きたいがためにはてなブログアカウントを取得。勢いこわい。
小説家でもないし脚本家でもないので、一から六人分のアイラブユーを考えるなんて難しすぎる。でも考えたい。よって、既存の小説を引用しつつ、各々のイメージに合った訳を考えることにした。

・渡辺翔太くん
『死んだら埋めてね』
夏目漱石夢十夜」の第一夜で登場する女の台詞より。渡辺くんは特定の彼女は作らず毎晩違う女を連れて歩いて経済力のある女の扶養をアテにして生きてる爆モテチャライケお色気男子。パブリックイメージは恐らくこんな感じ。わかる。だってかっこいいもん。顔が。でもイメージに反して渡辺くんは切ない恋愛が似合うと思う。年上の女の人に叶わぬ片想いをするドラマやってほしいくらい似合う。いつも女の子を求めてるのは寂しいから、本当に一緒にいたい人といられないから、みたいな。寂しいけど寂しいと言えない彼が訳すアイラブユーは、生きている間の関係性を望むのものではなく、一人ぼっちで死にたくない、死ぬときくらい傍にいてほしいと、最大限の孤独を回避しようとする寂寥感溢れるものだと思う。

・佐久間大介くん
『おれ、度胸はあるから』
再び夏目漱石、「三四郎」で登場する女の台詞。主人公の三四郎がなんやかんやで見知らぬ女性と同じ宿の同じ部屋に泊まることになって三四郎は特に女の人に手を出すわけでもなく夜を明かすのだけど、女性は三四郎に「あなたはよっぽど度胸のない人ですね」と言い放つお話。三四郎は見知らぬ女の人相手にドギマギしたけれど、金髪ふわふわピースの国の妖精さんさっくんは女の人相手に物怖じする人ではないと思う。行く時は行くし、キメるときはキメる。そういう思い切りの良さや行動力をひっくるめて度胸という言葉にして、だから安心してついて来てよって引っ張っていく意思を示すんだよさっくんは。単純に、度胸あるからいつでも狼になっちゃうよ油断しないでねっていう意味でも、それはそれでさっくんカッコイー。しかし最近さっくんが十四松に見えることがあるんだよな。さっくんカワイー。

・阿部亮平くん
『へんなお嬢さんだね、』
川上弘美センセイの鞄」より。あべくんと言えばあべちゃん先生。だからどうしてもこの小説から引きたかった。あべくんはわざわざ私が言うまでもなく賢い。そしてこれまたよく言われてることだけどずば抜けて頭が良い人は一周回ってトリッキー。それはあべくんも例外ではない気がする。現に頭抱えるような様々な逸話を残しているし。トリッキーなほど賢い人は目の付け所が違うんじゃないかなあと思う。他の人が見たらウィークポイントになるところに好意的な視線を向けてくれそう。だからあべくんが言う、変、は興味をそそられるという意味で、きっと褒め言葉に違いない。

・岩本照くん
『真夜中を一緒に歩いてよ』
川上未映子「すべて真夜中の恋人たち」より。岩本くんはストイック。自分にとことん厳しいけど周りの人には優しくて特に大切な存在だと思っている人には絶対危険なことはさせない怪我をするなら自分だけ。そして後先のことをしっかり考えて、勝てない勝負は勝てるまで鍛錬を積んでから挑むかそもそも挑まない。そんな岩本くんに、真夜中という言葉に不明瞭な未来という意味を込めて、先のことは不確かだけど一緒に来てほしいなんて言われたら、自分にだけ弱さを見せてくれたようで愛おしくなること必至。二つ返事でついていく。お伴しまっせ。

宮舘涼太くん
『君と生きていきたい』
あさのあつこ「あした吹く風」より。みんなだいすきみやだてくん。真面目に誠実に人と向き合う人だと思うし信念や考えも確固たるものを持っていると思うから、言葉も感情表現も、直接的でストレートなものがよく似合う。ベタだけどベタすぎて恥ずかしくなってしまってそう簡単には言えないストレートな愛情表現を、そんなに口数が多い方ではない宮舘くんが、ためてためてここぞという時に零したら、もう、爆発する。わたしが。誠実な宮舘くんはきっと、先のことはわからないけど、とにかく今は一緒に生きていく未来を見てたいと、至極真面目に現実を見ながら言うのだ。

・深澤辰哉くん
『なんにも望まないしなんにも求めない。そのかわり、なんにも失くさないしなんにも怖がらなくていいよ』
江國香織きらきらひかる」より。SnowMan全員まとめて包んでくれる包容力(あべくん談)を持つ深澤くん。きっととても優しい人なのだろうなあと思う。でも誰にでも優しい人は誰にも優しくないとはよく言ったもので、誰にでも優しくて誰からも好かれる愛情深さと、誰のことも好きじゃない淡白さの両方を、深澤くんは持っているような気がする(わたしはそこが好き)。そんな深澤くんが訳すアイラブユーは、こうして欲しいとかこうなりたいとかいう欲求や願望は皆無だけど、「なんにも失くさないなんにも怖くない」には自分のところへ手放しで飛び込んできていいんだよという抜群の包容力が表れてるし、一見相手と距離を取っているかのように見える「なんにも望まないしなんにも求めない」は、頑張らなくていいよという優しさの裏返し。温かくて冷たい優しさを持つ深澤くんのアイラブユーは、とびきり甘くはないけれど決して苦くない、そんな感じかな。

……ま、文学好きによるただの妄想なんですけど。